マーケティングDX化への挑戦
介護事業者向けコンサルティング会社が実現したマーケティング効率化とカスタマーサポート統合をBitrix24で実現
企業プロフィール
会社名:アビリティーズ・ケアネット株式会社
- 事業内容:介護事業者向けコンサルティング、リハビリ・福祉機器の開発・販売、研修サービス
- 従業員数:約900名
- 利用ライセンス数:500
- 導入製品:Bitrix24 Enterprise Edition
カスタマーサポート統合をBitrix24で実現
デジタル変革への道のり
2022年初頭、デジタルマーケティング担当の青木氏は、大きな課題を抱えていました。毎月のニュースレター配信に半日以上を費やし、複数のWebサイトでチャットツールを個別に管理する必要があり、業務効率の改善が急務となっていたのです。
「当時は本当に手間のかかる作業の連続でした」と青木氏は当時を振り返ります。マーケティングオートメーションツールとして導入していたMauticは、オープンソースの特性上、運用・保守の負担が大きく、特にニュースレター配信では送信完了まで画面を開いたままにしておく必要がありました。
さらに、複数のWebサイトでそれぞれ異なるチャットツールを使用しており、顧客対応の履歴が分散。「同じお客様からの問い合わせでも、サイトが違えば別々の履歴として管理されていました。統合的な顧客対応が難しい状況でした」
コロナ禍でオンラインミーティングの需要も増加。「既存のツールに加えて、また新しいツールを導入するのか」という議論もありました。しかし、これ以上ツールが増えることへの懸念も大きく、統合的なソリューションを模索することになったのです。
選定から導入まで
ツール選定では、シュガーCRMやVtigerなど、複数の選択肢を検討。「当初は日本製のツールを中心に探していました」と青木氏。しかし、コストパフォーマンスとオールインワン機能の充実度を考慮し、最終的にBitrix24の導入を決定しました。
「特に魅力的だったのは、メール配信、CRM、チャット、オンライン会議など、必要な機能が統合されていることでした。個別に導入すると膨大なコストになるツール群が、驚くほどリーズナブルな価格で提供されていたんです。また、Bitrix24.MarketでLINEのプラグインも用意されていたのも決め手です」
ただし、導入初期には課題もありました。特に悩まされたのが顧客の重複問題です。「同じ会社の方がフォームから問い合わせをすると、データが併合されてしまう」。これは同じメールアドレスを複数で共有する等、日本企業特有の事情かもしれません。重複の仕組みと理解し、対策をすることが必要でした」
活用の広がり
導入から約2年、現在では月5回、各3万通規模のニュースレター配信が2-3時間程度で完了するようになりました。「以前は半日がかりだった作業が、大幅に効率化されました」
チャットの統合管理も実現。複数のWebサイトからの問い合わせを一元管理できるようになり、顧客対応の質も向上しています。「お客様の過去の問い合わせ履歴を即座に確認できるようになり、より的確な対応が可能になりました」
プロセス自動化も活用しています。CRMに連動したセミナー管理やチケット管理を作成しました。特に前者は「セミナー募集・受付・リマインダー・アンケート」を自動化して、今まで手作業で行っていたことが略なくなり、正確化と効率化ができています。
現在は段階的に活用範囲を広げている段階です。「まずはマーケティング部門とカスタマーサポート部門で活用を始め、徐々に営業部門への展開も検討しています。ただし、急激な変更は避け、現場の受容度を見ながら慎重に進めているところです」
次なる展望
今まで販売分析はできていましたが、見込み客(リード)を可視化できるようになったことが大きな変化ですね。有効なマーケティング戦略の実施が期待できます。
「今後は電話との連携にも興味があります」と青木氏。Webサイトからの電話問い合わせ数が多く、電話対応の統合化が課題となっているためです。
また、全社的なコミュニケーションツールとしての活用も視野に入れています。「ただし、社内には紙文化が根強く残っているため、変革には時間をかけて取り組む必要があります。特に週報や日報などの業務フローは、経営層の理解を得ながら、慎重に検討を進めていきたいと考えています」
このように、アビリティーズ・ケアネット株式会社様では、Bitrix24を活用したデジタル変革を着実に進められています。「一足飛びの改革は難しいかもしれません。しかし、少しずつでも確実に前進することで、最終的には大きな変化につながると信じています」と青木氏は語ります。
導入からの道のりは、まさにデジタル変革の縮図とも言えるでしょう。既存の業務フローを尊重しながらも、着実に効率化を実現していく。その姿勢は、同様の課題を持つ多くの企業にとって、参考になるのではないでしょうか。